最終更新日: 2020年06月18日
アメリカで予想外の大ヒット作「クレイジー・リッチ!」
日本での公開日9月28日に先駆けて
映画の見所をご紹介します!
「クレイジー・リッチ!」の日本語・英語字幕付き映画予告編はボイスチューブ (VoiceTube) で視聴できます。
目次
映画の内容
Chinese-American New Yorker Rachel Chu (Constance Wu) travels to Singapore with her boyfriend Nick Young (Henry Golding) to attend his best friend’s wedding only to discover he comes from one of Asia’s most wealthy, prominent families. A commoner among the social elite, Rachel becomes a target for single women vying for Nick’s attention as well as for his judgmental mother Eleanor (Michelle Yeoh), who wants nothing more than to break them up. Directed by Jon M. Chu. Based on the novel of the same name by Kevin Kwan. ー IMDb, Crazy Rich Asians plot
prominent: 卓越した、傑出した、有名な
commoner: 庶民
vying (vie): 優劣を競う
【日本語訳】
中国系アメリカ人でニューヨーカーのレイチェル・チュー(女優コンスタンス・ウー)と彼氏のニック・ヤング(男優ヘンリー・ゴーディング)の二人は、ニックの親友の結婚式に参加するためにシンガポールに渡航するが、そこでレイチェルは初めて彼氏ニックがアジアでは有名なある大富豪家族の息子であることを知る。エリート社会とは全く縁のないレイチェルは、ニックの歓心を買おうと競い合う独身女性たちと、二人の関係に反対でレイチェルに批判的な義理母エリノア(女優ミシェル・ヨー)の攻撃の的となる。ジョン M. チュー監督。ケヴィン・クワァンの小説を映画化。
全米各メディアではその話題で持ちきり
**日本では「クレイジー・リッチ!」となっているが、原題は “Crazy Rich Asians” 。
The movie version of Kevin Kwan’s popular novel Crazy Rich Asians received a warm welcome at American theaters Wednesday and Thursday. It is the first major Hollywood movie set in the present day to employ a majority-Asian cast since The Joy Luck Club 25 years ago. Theater goers bought more than $8.5 million worth of tickets. ーVOA learning Englsih
employ: 雇う、用いる(employee: 従業員、employer: 雇用者)
【日本語訳】
人気小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」を映画化した作品が、米国の映画館で温かい歓迎を受けた。25年前上映された映画「ジョイ・ラック・クラブ」以来、初めてアジア人キャストが大多数を占めるハリウッド映画だ。 上映開始からたった2日間で850万ドル以上に相当するチケットが売られた。
“Crazy Rich Asians” showcases a range of Asian-American characters as all types of human beings — not just the handful of stereotypes we so often see. It’s refreshing, it’s invigorating — and it’s powerful. ーINSIDER
showcase: 披露する
stereotype: 典型的な、ステレオタイプ
invigorating: 激励の、元気づける
【日本語訳】
「クレイジー・リッチ!」では、様々なアジア系アメリカ人があらゆる役を演じる、それも私たちが見慣れたアジア人のステレオタイプではなく。当作品は、新鮮で、爽快で、そして強いメッセージを持つ。
Everyone involved in this film says they hope it will pave the way for a Hollywood that allows many more stories about Asian Americans, with different perspectives, body types and ethnic backgrounds. ーTIME
pave the way: “pave” は(石やアスファルトで)舗装するの意味、”pave the way” で「道を切り開く」となる
ethnic: 民族(的)の
【日本語訳】
「クレイジー・リッチ!」の制作に携わった人は皆、この映画をきっかけにハリウッドで今後、異なる視点、体の特徴、民族的背景を持つアジア系アメリカ人について描いたストーリーがさらに増えること望んでいる。
ハリウッド映画史における重要性
多民族国家でもあるアメリカですが、人種差別は未だに健在。人種による不平等はアメリカ社会のいたるところで見られます。アジア人に関しては、多くのアメリカ人が依然としてアジア文化の多様性についてあまり知らない、もしくは無関心であるというのも理由の一つに考えられます。だからこそ、「クレイジー・リッチ!」はアジアンカルチャーに乏しい一部のアメリカ人に対して啓示的な意義があるとも言えるでしょう。
生まれも育ちもアメリカ、文化も考え方もアメリカ人のアジア系アメリカ人。そういった彼らを自然体で描写した「クレイジー・リッチ!」は、アメリカ社会における偏った概念やステレオタイプから抜け出そうとする試みであり、アジア系アメリカ人が共有するアイデンティティの葛藤と苦悩にスポットライトを当てるという点で重要性があるのです。
【おまけ】アジアンカルチャー旋風?
一方で長年以来の偏見や人種差別を見直し、異文化に対して積極的な態度をとる姿勢も顕著になってきました。アメリカのテレビ番組 “Fresh Off the Boat” は、ABC (American Born Chinese)つまりアメリカ生まれの中国系アメリカ人の家族についてコミカルに描いたコメディで、今年なんとシーズン5に突入。さらに、アジアンカルチャー旋風はアメリカの音楽界にも及び、アジア発のメディアプラットホーム “88rising” が生まれ、アジアで活動する多数のアーティストがアメリカのヒップホップ界において前代未聞の大注目を浴びました。他にも、韓国の K-pop グループ BTS も人気上昇中です。
「クレイジー・リッチ!」のような全員アジア人キャストからなるハリウッド映画が上映されるのも、ここ数年のアジアンカルチャーの動向を考慮すると、タイミングとしてはおかしくなかったかもしれません。
今後もグローバルなアジアンカルチャーの動向に、同じくアジアの一員である日本も注目すべきではないでしょうか?
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文/Leonard
画像/Kilyan Sockalingum, CC Licensed